2023年1月29日 (土)〜30日(日)、福山市にある鞆の浦を舞台に「鞆の浦のバリアフリーマップ」を作成することを目的とした1泊2日のユニバーサルツーリズム研修を開催しました。
バリアフリーマップづくりの様子をお伝えした前回に引き続き、本記事では、マップづくりの過程で見えた福祉視点からの鞆の観光における課題や解決策、個人レベルでのアクションプランを立案したワークショップの様子をお伝えします。
ワークショップ概要
2日目に行われたワークショプは、まち散策グループと同様に3グループで進められました。課題の抽出と解決策の立案をおこなったあと、それぞれのグループが発表。その後、アクションプランも含めた振り返り会を実施しました。
課題の抽出
まずは、グループにまち歩きのなかで感じたあらゆる問題・課題をポストイットに書き出しました。
課題が抽出されたあとは、グルーピングもおこないます。
課題は、道路・交通に関することや神社・お寺に関することが多く挙げられていました。
解決策の立案
続いて、課題に対する解決策の立案をおこないます。
「これがあるといいよね」「あれが必要だよね」と、各グループ様々なアイデアが出てきました。
発表内容の紹介
課題の抽出と解決策の立案までできたところで、グループごとに発表をおこないました。以下には、グループごとに発表された内容を掲載します。
①神社・仏閣系
<課題>
・沼名前神社の賽銭箱が階段の上にある
・沼名前神社の砂利が車椅子走行しづらい
・お寺の墓の前まで辿り着けない
・医王寺は坂道と段差あり移動が困難だった
・寺は段差と階段が多く入れない
<解決策>
・砂利道に車椅子・ベビーカールートを作ってもらう
・レンタルスロープサービスを作る
・外出支援の普及(墓参りなどの付添)
・寺・神社へのユニバーサルリテラシー向上
・本堂に集約される神社をつくる
・砂利道・不整地用車椅子のレンタルサービス
・ビーチマット導入
・寺で休憩できるようにする
②道路
<課題>
・道が分かりづらい
・歩道がないので、すれ違う車が怖い
・車が多い
・道自体に傾斜がおおい
・まち全体が石畳で走行しづらい
・カーブミラーが車椅子の目線から見にくい
・街全体の道路が古い
<解決策>
・カーブミラーを低い位置にも設置する
・レンタル車椅子のサービス導入
・小道を通るルート作成
・車椅子ユーザーが通りやすいルートマップの作成
③その他環境因子
<課題>
・人通りが少なく困った時に助けが呼べない
・グリスロのスカートガードはない方が良い
・暖まる場所や涼む場所(休憩場所)がない
<解決策>
・心のバリアフリー充実
・若い人を増やす取り組み・事業をする
→若い人向けのコミュニティスペースなど
①道
<課題>
・道と歩道の間の段差
・交通量が多い
・坂が多い
・石畳が多く道がガタガタ
・国道に歩道が少ない
・排水のために道の端が斜めになっている
<解決策>
・観光マップに車椅子が通りやすい道を示す
・観光用のルートを整備する
・グリスロを利用する
・行政向けツーリズム研修の実施(車いすの乗り心地の悪さを知ってもらう)
②お店
<課題>
・入り口に段差がある場所が多く、介助に複数人が必要
<解決策>
・折りたたみでも良いので、スロープを置く
・店員さん向け介助のスキルアップセミナー実施(ユニバーサルマナー検定)
③トイレ
<課題>
・観光センターに多目的トイレがない
・渡船場の多目的トイレ使えない
<解決策>
・多目的トイレのないところには、近くのトイレの場所を示す
④グリスロ
<課題>
・シートが固め
・手すりが固定されていない
①道路
<課題>
・車が多い
・道が狭く、車とのすれ違いが危ない
・急な坂道がある
・砂利道は車椅子が走行しづらい
・軒先が道路に面しているので車を確認しにくい
・石畳など不整地が多い
<解決策>
・様々な方が使えるようなミラーの設置
・町内を走る車を減らす。駐車場ふやす、自転車にするなど
②建物
<課題>
・入り口に小さな段差が多い
・店の前に段差がある所が多かった
・神社仏閣は階段のみ。スロープがあるところは少ない
<解決策>
・段差解消用スロープを置く
・心のバリアフリー対応
③設備
<課題>
・グリスロ1台では足りない
・多目的トイレの数が少ない
・グレーチングの幅が広いため、車椅子のタイヤがはまる
<解決策>
・グリスロを増やす
・側溝の整備
④表示
<課題>
・車いすのマークが少ない
・鴎風亭のお風呂は車椅子ユーザーOKか分からない
・車椅子ユーザーが困った時にSOSを送りにくい
まとめ
グループごとに様々な課題やアイデアが発表されました。なかでも、道や交通、段差に関することは多く挙げられていました。また、鞆の観光名所でもある神社やお寺に入りづらいことも課題だといえます。
参加者のみなさんに挙げてもらった課題や解決策を一つでも実行に移せるように、鞆の住民や事業者、地域おこし協力隊も力をあわせて解決に向けて進めていきたいと思います。
最後の振り返りでは、「SNSで今回の鞆のユニバーサルツーリズムについて発信する」「マナー検定を調べてみる」など、個人単位でできそうな具体的なアクションの発表もありました。
2日間の研修は、満足度も非常に良い結果となり幕を閉じました。
最後は、主催者である燧冶の管理人・羽田知世さんから終了証の授与がありました。
有意義な研修となった「ユニバーサルツーリズム@鞆の浦」。
今後は、鞆の魅力を生かしつつ、今回挙げられた改善点を少しでも解決に導けるように進めていきます。
魅力ある鞆の浦をどんな方でも楽しめるまちにしていきます。随時、仲間も募集中です。ユニバーサルツーリズムに興味を持ってくださった方はぜひご連絡ください。
福山市地域おこし協力隊SNS
・移住相談チャット(LINEオープンチャット)
車椅子YouTuberの中村さんが、ユニバーサルツーリズムの様子を動画にアップしてくださっています!ぜひこちらも合わせて御覧ください!
コメント